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social goodを結節点に350名が集いました!

執筆者の写真: Yoko UryuharaYoko Uryuhara

更新日:5 日前

2月25日から3月1日までの5日間にわたり開催した「第15回ソーシャルマーケティング研究会」には、延べ346名(重複を除く実人数170名)の方々にご参加いただき、多くの関心をお寄せいただく貴重な機会となりました。

この研究会を通じて新たなつながりが生まれたことを、心よりありがたく思っております。


今年も、平日は学生による詳細な研究報告、土曜日には多様な立場の参加者が一堂に会して議論を交わすシンポジウムという二本立ての構成で開催しました。


2月25日~28日:学部生による研究報告

平日は商学部の3年・4年生による研究報告です。本研究会は、学生・研究者・企業・一般、立場に関わらず、social goodに向けて真摯に研究した結果について討議することを特徴としております。

学生たちが「1. 背景・目的、2. 現状と問題点、3. 先行研究調査、4. 定性調査、5. 仮説の導出、6. 仮説検証の方法と分析結果、7. 考察、8. 研究の限界と今後の展望」という研究プロセスに則り、体系的に発表を行いました。

これに対し、コメンテータの先生方が研究手法の適切性、結果の考察の妥当性、知見の社会への適用可能性、研究の意義について専門的なコメントを寄せてくださいました。

今年の研究テーマも多岐にわたり、

  • 京都のオーバーツーリズムの影響因子と対策

  • 地蔵を通した態度変容

  • 環境と医療のエコの親和性の探究

  • 医療のエコ活動の普及

  • 睡眠の質の向上

  • 骨髄バンク登録の促進

  • 臓器提供意思表示の促進

  • 家族間の価値観共有の促進

など、実社会の課題に根ざした研究が発表されました。そのため、コメンテータの専門性や立場も多様となり、多角的な視点からの貴重な助言が寄せられました。

18名の専門家がそれぞれの視点から熱心にご助言をくださったことで、学生たちは新たな気づきを得ることができ、非常に実り多い機会となりました。

コメンテータの先生方に深く感謝申し上げたく存じます。


3月1日:Rising star session(学部2年生による医療課題解決に向けた企画発表)

骨髄バンク登録の促進チーム(2年生)
骨髄バンク登録の促進チーム(2年生)

非公開で行われたこのセッションでは、学部2年生がソーシャルマーケティングの施策立案プロセスに則り、2025年度に実施予定の施策を発表しました。

各チーム、発表13分+質疑応答6分という形式で進められ、限られた時間の中で最大限の力を発揮できるよう工夫されました。

審査員は田代哲也様(広島県),金丸徳敬様(アステラス製薬),松下登志朗様(ソマノベース),大西崚介様(BCLabo)。

評価のポイントは、施策の目的・セグメンテーション・ゴールの適切性、介入対象者のインサイト抽出の妥当性、施策への応用など、多角的な視点から厳正に審査されました。

ソーシャルマーケティングの基礎を学んだ後、11月から施策立案を進めてきた各チーム。どのチームの発表も素晴らしく、審査員の方々も「甲乙つけがたい」と悩むほどの接戦となりました。

そんな中、見事 「骨髄バンクの登録促進」 チームが優勝! 🎉

今回の経験を通じて、学生たちは教科書で学んだことを実践する力がつきました。今後の成長がますます楽しみです!


3月1日;Symposium1 『地域における共創と市民へのインパクト』

午後は、多様な立場が一集い討議する時間です。まず、2024年11月開催の「超ECO祭」の活動を事例に、地域社会における共創パートナーシップの形成が、市民の行動変容やwell-beingにどのように寄与するのかについて学術的・実践的に討議が行われました。

超エコ祭2024の動画の上映、その全容の発表、各ブースの発表を行ったのち、ブース出展もしてくださった服部篤子先生(同志社大学)、松下登志朗様(ソマノベース),共創パートナー明治安田生命保険相互会社様、アステラス製薬様、イオンモール様からのコメントもあり、共創の重要性を再確認いたしました。

また、岡部格明先生(同志社大学)の「市民への普及とエビデンス~データ分析の観点から~」では、社会実装研究における皆の日頃のジレンマを解決するヒントをいただき、感銘を受けました。

Symposium1 の参加者


3月1日:Symposium2 『自治体における行動変容施策の実装事例の促進』 

今回のシンポジウムでは、自治体において行動変容施策を実装するためにソーシャルマーケティングを活用した事例 として、以下の実践が紹介されました。

  • 横浜市の事例(荒川裕貴先生:横浜市立大学/SMRC)

  • 広島県の事例(杉山亮一先生:広島県/SMRC)


これらの事例をもとに、玉田寛先生、中山健夫先生、鎌田真光先生、遠藤華英先生、八木匡先生の5名の先生方からコメントをいただき、施策の立案プロセス、実践の利点や成果、直面した課題について活発な議論が交わされました。

自治体における実践例を初めて本格的に紹介するシンポジウムとなりましたが、参加者から、「ソーシャルマーケティングの視点を取り入れながら、社会的に意義のある行動変容施策を促進することの重要性」、「自治体が共創のプラットフォームとして機能することで、新たな社会的価値が生まれる」ことなどが語られ、大変好評でした。

今回の議論を通じて、自治体におけるソーシャルマーケティングの可能性と、その役割の重要性が改めて確認されました。

今後も自治体での実践が増え、研究会での報告もより多様化していくことが期待されます。


3月1日:『ソーシャルマーケティング再考』

本セッションでは、まず、瓜生原がソーシャルマーケティング研究センター4年目の活動報告を行いました。5年間の構想のうち、4年目は、「他分野との融合、共創の有用性の探究」を目指した活動を行い、得られたことを共有しました。

そのうえで、4年間の研究、社会実装、様々な方との対話を通して浮かび上がった課題3点について、問題提起をしました。これらは国際的にも課題となっています。


①ソーシャルマーケティングにおいて、ソーシャルグッドの視点を失ってはいないか?( 行動ありきになっていて、促す行動は本当に個人・社会にとってグッドなのか深く考え続けているだろうか?)

ソーシャルマーケティングが、ただの施策立案のツールになってしまい、その根本的な理念が軽視されてはいないか?(「マーケティングを適用する」のみが強調されていないだろうか?)

③企業では、エシカル消費と『ソーシャルマーケティング』が同じものだと誤解されていないか?(企業はどのようにソーシャルマーケティングを活用したらよいのか?)


これに対して、国際ソーシャルマーケティング協会理事長のProf. Jeff Frenchが15分にわたり、ご講演くださいました。

さらに、瓜生原が、日本の現状に即して、ジェフ先生の内容を解説し、玉田寛先生とsocial goodの捉え方や企業の活用について討議をしました。

重要点は以下のとおりです。


【ソーシャルマーケティングの原則】

  • 個人,コミュニティ,社会全体の価値を共創することによるsocial goodの促進

【ソーシャルマーケティングが果たす役割】

  • 「この行動は主体者・社会にとってgoodか」と常に問い、考え、実践することを通して成長し、その成長が連鎖して社会が成熟するのを助ける役割を担っている。

  • あるべき社会規範の構築(変化)を可能とする。

  • 多様なパートナーと共にシステムや政策、戦略を構築していく連携の基盤になる。

【大切なこと】

  • 市民の声に耳を傾け市民と共に社会課題を解決する。

  • 一人ひとりが積極的にソーシャルマーケティングに関わり、共創する!


研究センターも4月から5年目に突入します。5年目の目標は「ソーシャルマーケティング体系の確立」。

多彩な領域との接点の探究も14分野に至りました。2025年度は、さらに接点となる領域を増やし、「social goodとは何か」を多角的視座で論じ、次の学術、ならびに社会実践につながる「ソーシャルマーケティング体系の確立」を目指したいと思います。


2025年度の第16回ソーシャルマーケティング研究会は、2026年2月16日(月)から21日(土)を予定しております。

来年も是非ご参画賜りたくどうぞよろしくお願い申し上げます。


改めまして、本研究会のご関係者に御礼申し上げます。


ご講演者・コメンテータの皆様(五十音順・敬称略)

秋山 美紀(慶應義塾大学環境情報学部 教授, 健康マネジメント研究科 教授)

荒川 裕貴(横浜市立大学医学部公衆衛生学教室 助教)

遠藤  華英(同志社大学スポーツ健康科学部 助教)     

大友  康博(株式会社新産業文化創出研究所 主任研究員)

大西 崚介(株式会社BCLabo代表取締役)

岡田    彩(東北大学大学院情報科学研究科 教授)

岡部 格明(同志社大学文化情報学部 日本学術振興会特別研究員(PD))

金丸 徳敬(アステラス製薬株式会社アドボカシー部)

鎌田 真光(東京大学大学院医学系研究科 講師)

上林  憲雄(神戸大学大学院経営学研究科 教授)

木原 隆志(株式会社島津製作所 メドテック営業部未来医療連携推進室)

小柴 巌和(同志社大学ソーシャルマーケティング研究センター研究員)

佐々木聖広 (明治安田生命保険相互会社京都支社)

杉山 亮一(広島県総務局 局長)

立山由紀子(京都大学大学院医学研究科 特定講師)

田代 哲也(広島県施策形成支援チーム施策形成支援担当)

玉田   寛(ヘルスケアリーダーシップ研究会 理事長) 

遅     力榕(龍谷大学短期大学部社会福祉学科 講師)

中澤 敦子(同志社大学保健センター 産業医)

中山  健夫(京都大学大学院医学研究科 教授)

並河    進(dentsu Japanグロースオフィサー エグゼクティブ・クリエイティブディレクター)

新居 正玄(イオンモールKYOTO)

野口  範子(同志社大学生命医科学部 教授)

野田   遊(同志社大学政策学部 教授)

服部 篤子(同志社大学政策学部 客員教授)

藤岡八重子(NPO法人献血と骨髄バンクの和を広げる会 理事長)

堀江 卓矢(京都市観光協会)

松下登志朗(株式会社ソマノベース)

三澤  和樹(京都大学iPS細胞研究所(CiRA)国際広報室)

八木   匡(同志社大学経済学部 教授)  

山中 幹宏(株式会社島津製作所 基盤技術研究所みらい戦略推進室)

山本小奈実(山口大学大学院医学系研究科 講師)

吉川美喜子(厚生労働省 移植医療対策推進室 室長補佐)

Jeff French(Brighton University Business School、国際ソーシャルマーケティング協会 理事長)

                           

社会実装共創者(五十音順・敬称略)

アステラス製薬株式会社,イオンモールKYOTO,Innovation for NEW HOPE,⼀般社団法⼈PHR普及推進協議会,NPO法⼈献⾎と⾻髄バンクの和を広げる会,株式会社島津製作所,株式会社ソマノベース,株式会社予防医療製作所,京エコロジーセンター,京都市,京都⼤学iPS細胞研究所(CiRA),

京都⼤学⼤学院医学研究科社会健康医学系専攻,公益財団法⼈⽇本AED財団,同志社⼤学サイエンスコミュニケーター養成副専攻,同志社ミツバチラボ,ヘルシーキャンパス京都ネットワーク,明治安⽥⽣命保険相互会社,WAKAZO

後援:京都府,京都市,京都新聞,KBS京都


文責:瓜生原葉子

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